ドラマ「竜の道～2つの顔の復讐者～」は原作とこんなに違う！その理由と独自の魅力とは

玉木宏主演のドラマ「竜の道～2つの顔の復讐者～」の1話。

原作を読んでドラマを見た人の感想は、原作とこんなに違う！びっくりした！という一語に尽きるでしょう。

冒頭部分の銃撃シーンには驚かされたという声もSNSで多く書き込まれています。

そこで、ドラマ「竜の道～2つの顔の復讐者～」が原作とこんなに違う理由と独自の魅力を考察しました。

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「竜の道 二つの顔の復讐者」は、家族を失った双子の兄弟が裏社会と表社会の両面から家族を奪った企業へ復讐します。   整形をしてまで裏社会に身を置く兄・竜一役を玉木宏さん、表社会で戦う弟・竜二役を高橋一生さんが演じます。[…]

原作とこんなに違うドラマ「竜の道～2つの顔の復讐者～」

具体的に、どんなところが原作とドラマが違うのかを設定・登場人物・展開に分けて整理してゆきます。

設定の違い

まず、物語の前提となる設定についてですが、

・　時代背景で言えば、原作がバブル期の1980年代以前の時代の設定であるのに対し、ドラマは現在2019～2020年です。

・　更に、原作では矢端竜一は株価操作によって50億円のアングラマネーを得、それを竜二が表の株売買で3倍の150億円にしますが、ドラマの映像では竜一（玉木宏）が大野木（田口トモロヲ）から奪った金5千万円だけです。

・　しかし一番重要な違いは、原作では竜一と竜二が交わした約束「4つの誓い」が、ドラマでは3つになっていることです。

4つの誓いとは、

・　世の中を見返すこと

・　二街道急便に復讐すること

・　美佐を幸せにすること

・　実の両親を探し出し、この世から葬ること

このうち、始めから3つについてはドラマでも2人は実現させようとしていますが、

「実の両親を探し出し、この世から葬ること」は、ドラマのどこにも登場しません。

登場人物の違い

ドラマでは原作に登場しない人物が重要な役割を果たすことになります。

・　原作では宿敵・二階道急便の社長・二階道源平には後継ぎの息子はいない事になっていますが、ドラマでは、キリシマ急便の社長・霧島源平（遠藤憲一）の長男として霧島晃（細田善彦）が登場します。

・　また、ドラマ独自の登場人物・遠山凛子（奈緒）が闇の世界で巨万の富を築こうとする竜一の野望を実現させてゆきます。

・　妹・美佐は、原作では透視能力を持つ盲目の童話作家ですが、ドラマでは大学生の健常者・吉江美佐（松本穂香）です。

その美佐、原作では整形し顔がすっかり別人となっている竜一を透視能力で「いちあんちゃん」と呼びかけて2人をびっくりさせますが、ドラマでは気が付いていません。

展開の違い

原作では竜一と竜二が全く違う裏社会と官僚組織から、復讐のためにターゲットの二階道源平にアプローチしてゆきますが、ドラマでは2人が情報を交換し合って目的を果たそうとします。

そして、4つの誓いによって固い絆をどこまでも維持しようとする原作に対し、ドラマでは弟・竜二（高橋一生）に銃を放つ兄・竜一がいます。

別の話になってきた理由は？

ドラマでは、原作にあった“自分達を捨てた実の親への恨みや復讐心“というもうひとつのテーマを完全に無くしています。

ここが、重要なだけにドラマは原作とは別の話になってきたとも云えるのではないでしょうか？

カンテレがドラマを制作するに当たって、原作とは違う話にせざる得なかった理由は、放送倫理の問題と現在のコンプライアンス（法令順守）の社会風潮にあると思います。

具体的に原作から削った箇所は、

・　養父母殺しを消し、竜一がしたほかの人殺しも少なく抑えた。

（原作では実母に捨てられた兄弟を育てた養父母は2人の兄弟を虐待していて、近所に住み運送業を営む美佐の両親だけが兄弟を実の子供のように愛していた）

・　不正な株価操作を消した。

（原作では株の情報誌のオーナーとなった竜一は手下を使って仕手戦を演出し株価操作を指示して巨額のアングラマネーを得ている）

・　主人公・竜一とヤクザ・曽根村（西郷輝彦）との互いに利用しあう関係を親密で信頼する関係に変更した。

（原作では竜一は曽根村と反目するヤクザを次々と殺害し、曽根村は竜一の海外逃亡を助ける）

・　盲目の美佐を健常者にした。

（原作では顔も名前も替えて別人となった竜一でしたが、美佐には見破られています）

そのために、原作にあった読み進むにつれて沸いてくる主人公・竜一への恐怖感や、その反対に成り上がってゆく姿のサクセスストーリー感が、ドラマでは薄らいでしまいまっています。

ドラマの面白いところとは

笑わない女・遠山凛子（奈緒）が、ブラジルで身に着けたハッキングなどのIT技術を駆使して竜一が新た起こした犯罪組織UDポートレートで、ダーティな活躍をします。

このあたりが、原作が書かれた時代にはない面白さです。

そして、ドラマの冒頭で竜一が竜二を撃ち殺すシーンがありました。

これがドラマの本当の結末だったのかどうかが、謎です。

筆者も衝撃を受けた1人ですが、見た人がそこに至った経緯（いきさつ）を知りたくてドラマの展開に注目するはずです。

冒頭から悲しすぎた竜の道。どうなるんやろ。

— (._.)(´ `)(._.)(´ `) (@calapponon) July 28, 2020

“竜の道”めちゃくちゃいい‼️
冒頭で鷲掴みやん！💦
展開楽しみ〜🤩

— Kotone (@kotonenomori835) July 29, 2020

そして冒頭、なぜ竜一が竜二を撃つのか
気になる〜#竜の道

— 🐟 (@dcmuy) July 28, 2020

竜の道、冒頭から絶望見せていくスタイル好きです

— ノルハ (@tkzw0220) July 28, 2020

ドラマは何話まで？コロナで変更はある？

「竜の道～2つの顔の復讐者～」は、白川道氏の原作小説『竜の道』3分冊が文庫本で併せて1239ページにもなる長編なのでその全てをドラマ化することはないでしょう。

すでに、ドラマの1話では竜一が兜町で株の業界紙「株式日日新聞」の影のオーナーとして君臨し、巨額のアングラマネーを得るまでの部分「竜の道 飛翔篇」の大半はカットされ回想シーンとされていました。

ドラマは、復讐がメインとなる『竜の道 昇龍篇』が中心です。

カンテレの火曜ドラマはほとんどの作品が10話の構成ですが、同枠前作「探偵 由利燐太郎」は5話でした。

ただし、ドラマは既に7月25日に撮り終えてクランクアップしているので、コロナの影響で放送回数が変更されることはないと考えられます。

むしろ、カンテレは次作のドラマ「DIVER特殊潜入班」を9月スタートと番組ホームで公表しているので、「竜の道～2つの顔の復讐者～」は5話で完結するドラマとなるというのが筆者の予想です。

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まとめ

ドラマ「竜の道～2つの顔の復讐者～」が原作と違う点はいくつもありましたが、一番の違いは4つの誓いのうち「実の両親を探し出し、この世から葬ること」がドラマにはないことでした。

その理由は、放送倫理の問題と現在のコンプライアンス（法令順守）の社会風潮にありました。

しかし、冒頭に結末と思わせる銃撃シーンを置くなど原作にはない独自の魅力をドラマは作り出そうとしていました。