「半沢直樹2」賀来賢人が演じる森山の役柄と思いを考察！

ドラマ「半沢直樹2」は予想されたとおり1話から視聴率22％の好調なスタートを切りました。

もちろんその理由は主役である半沢直樹役の堺雅人さんの迫真の演技なのですが、脇役・森山の微妙に揺れる半沢への思いを演じる賀来賢人さんの演技の素晴らしさもあります。

そこで、「半沢直樹2」で賀来賢人さんが演じる森山の役柄と思いを考察してみました。

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森山（賀来賢人）の役柄と半沢との関係

半沢直樹が東京中央銀行から部長職で子会社の東京セントラル証券に出向して来て、まず感じたことは銀行からの出向組と証券採用組（プロパー）との間に大きな軋轢（あつれき）があることです。

ドラマ「半沢直樹2」1話のなかでも、

・銀行証券部で扱いたくない“クズのような案件”を証券に押し付けたり。

・社内では無能者と呼ばれている社員・三木（角田晃弘）も銀行出向組だというだけの理由で、重要案件を任されています。

これでは、証券採用組の口から、

「出向組は銀行に帰ることしか考えていない」と不満が漏れ出ても仕方ありません。

プロパーの森山雅弘（賀来賢人）も自分が営業を担当していた電脳雑技集団から依頼のあった重要案件のプロジェクトから外されて悔し涙を飲まされています。

それも、銀行出向組の諸田次長（池田成志）によるプロパー外しが理由です。

半沢は、営業企画部長という立場にあって、苦悩する森山たち証券採用組の部下達に何とかして金融業で働くプライドを伝えてあげたいと考えたのです。

半沢は子供の頃、経営に行き詰まり銀行から融資を止められ自殺に追い込まれた父親の姿を見て、逆に“金融業は人を救える仕事でもあるのだ”と感じて、銀行に就職しました。

証券子会社に飛ばされた今でもその思いに変わりはありません。

“証券の仕事も同じだ”と悩む森山に伝えたくて、飲みに誘いますが半沢も銀行出向組、森山からは断られてしまいました。

しかし、半沢は諦めません。

電脳雑技集団が買収を企む東京スパイラルの社長・瀬名洋介（尾上松也）が森山の中学剣道部時代の友人であることに気付いたのです。

森山に活躍の場を与えたかった。

半沢はそう考えたに違いありません。

諸田や三木の裏切りにより、電脳雑技集団から持ち込まれた東京スパイラル買収案件を、銀行証券部に奪われた後、半沢の森山に対するこの思いは意外な形で実を結ぶこととなるのです。

森山（賀来賢人）の思いとは？

では、半沢の誘いを断った森山の思いとはどんなものなのでしょうか？

もちろん、上司であっても銀行出向組の半沢に対する警戒心というものもあったでしょう。

しかし、それだけではなく、森山自身が氷河期世代と呼ばれた就職難の時代を経験したことによる社会への卑屈がそうさせたのです。

森山は、部長の半沢は自分たち氷河期ロスジェネ世代の原因を作ったバブル世代の人間。

大した努力もせずに楽をして一流と呼ばれる企業に職を得て、経済急成長の恩恵を受けてきた世代の人だという思いも森山にはあるのです。

景気の波だとは云え、常に前向きにポジティブな生き方が出来るバブル世代と苦境しか知らずネガティブな生き方しか出来ないロスジェネ世代とは、僅か10年と少しほどしか年齢差はありません。

森山は自分の運命をどう乗り越えてゆくのか

ドラマ「半沢直樹2」の原作となっているのは池井戸潤氏の小説「ロスジェネの逆襲」ですが、作者は最後まで森山の運命に明確な“灯り“を与えてはいません。

少しネタバレになってしまいますが、

半沢と森山の銀行に対する反撃は成功し、森山にも自分の運命を大きく変えるチャンスが訪れます。

しかし、半沢の“金融業は人を救える仕事だ“と言う意味をすでに理解していた森山は自分の現在の仕事に対するプライドによって人生の岐路を判断するのです。

けれどそれだけでは正直言って納得感が得られませんでした。

ドラマではどうでしょうか？

その“灯り”が小説には登場しない浜村瞳（今田美桜）という存在です。

1話では、半沢と森山を支える証券採用組の社員として登場する浜村瞳。

証券を裏切った諸田が残した証拠を掴むため、三木をオフィスにおびき出す役割を果たしていましたね。

森山の卑屈になった気持ちに一筋の光を与える“灯り”になって欲しい役柄です。

賀来賢人の俳優経歴と演技

「半沢直樹2」に出演している俳優に東京の暁星学園の出身者が多いことに気が付いた演劇ファンも多いことでしょう。

香川照之さん、市川猿之助さん、そして賀来賢人さんも暁星学園の卒業生。

暁星学園は、ハイソサエティの子息が学ぶ学校として東京では有名なのです。

その賀来賢人さんが、全国区の知名度を得たドラマと言えば、2014年のNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」。

賀来賢人さんは、ヒロイン・花子（吉高百合子）の兄・安東吉太郎を演じていましたね。

戦時中の憲兵役から戦後の酒作り職人へと変身する役柄を上手に演じたのが記憶に残っています。

ちょっと陰や謎のある青年の役が似合う賀来賢人さん。

2017年日本テレビ「愛したって、秘密はある」では、ヒロイン立花爽（川口春奈）の兄・暁人の役で本領を発揮していました。

犯人は暁人だと予想してしまった人もいたことでしょう。

だが賀来賢人さんの演技はそこに留まりません。

「スーパーサラリーマン左江内氏」での池杉照士役では意外とも思えるコメディアンの一面もみせてくれましたね。

それからというもの、最近では「ワニトカゲギス」や「ニッポンノワール～刑事Yの反乱～」、そして「今日から俺は！」でそれぞれ異色の役柄をみごとに演じてくれています。

賀来賢人さん自身はとても器用な演技者なのだと思います。

しかし、「半沢直樹2」の森山では不器用な生き方しか出来ない男をそのままリアルに演じて欲しい。

そんな賀来賢人さんです。

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まとめ

ドラマ「半沢直樹」は半沢直樹が悪役の自分への攻撃に屈しない“倍返し”の話が面白いのですが、登場する人物の人生の機微もストーリーに織り込まれているところに魅せられます。

回が重なるに従って森山の変わりゆく思いも注目ですね。