ドラマ「俺の家の話」寿限無（桐谷健太）のおとしまえには実はこんなパロディ

ドラマ「俺の家の話」4話では寿三郎（西田敏行）のエンディングノートに書かれていた謎のことば“寿限無（桐谷健太）のおとしまえ”がテーマになっていました。

ドラマ中盤で解き明かされたその謎は寿限無（桐谷健太）の出生の秘密。

家族全員が「クソ爺！」と叫ぶそのワケは？

さらに、今回のドラマには実はこんなパロディも隠されていたのです。

ドラマ「俺の家の話」4話”寿限無（桐谷健太）のおとしまえ”に隠された別な意味を考察しました。

1度目はスーパー世阿弥マシンのデビューの時。

寿限無（桐谷健太）の出生の秘密だった“おとしまえ“

 

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寿三郎のエンディングノートには寿命が尽きるまでにしたいことのほかに、やりそびれて心残りなことも書かれていました。

その1つが、“寿限無（桐谷健太）のおとしまえ“だったのです。

寿限無（桐谷健太）本人に告げる前に子供たち3人に伝えた寿三郎。

「クソ爺！」

全員がそう口を揃えて叫んだその内容とは、寿限無（桐谷健太）が寿一（長瀬智也）、舞（江口のりこ）、踊介（永山絢斗）3人の腹違いの兄弟だったという事です。

そのことはもちろん自分の命が尽きるまでには寿限無（桐谷健太）に伝えなければならないことでしたが、思い切りがつかなかった寿三郎。

寿限無の母親・菅原栄枝（三保純）を呼んで、さくら（戸田恵梨香）に促され覚悟を決めて寿限無に出生の秘密を伝えました。

顔色変えずに話を最後まで聞いて「承知いたしました」とだけ返答した寿限無。

ここまでが、寿三郎のつけた“おとしまえ”でした。

実は“おとしまえ“には別の意味が

しかし、ドラマのなかで“おとしまえ”はまだついていなかったのです。

子供たちの能の公演が開催されます。

寿三郎の孫の大州（道枝駿佑）と秀生（羽村仁成）が演目「小袖曽我」を舞い、寿限無（桐谷健太）が演目「道成寺」のシテ（主人公）を舞うことになったのです。

「小袖曽我」は父・河津三郎の仇討ちに曽我兄弟が出掛ける前に母親の前で披露する舞で、親子兄弟の心情を含んだ定番の能楽演目です。

「道成寺」は、捨てた男に対する女の恨みの恐さを白拍子の舞に表現したもので、「鐘」に隠れた白拍子が毒蛇に化けて大暴れする場面があります。

クライマックスは「鐘」が落ちて白拍子を隠すシーン。

実際に演じた能の演者が「鐘」にあたって大怪我をした例が昔から絶えない危険な演目です。

ドラマの中でも、プロレスのリングの上に設置された「鐘」が落ちるシーンの練習中に寿一がそんなことを言っていましたよね。

寿限無（桐谷健太）が公演の直前まで「鐘」の中に隠れて、白拍子の姿で出てきたときに恨み言を寿三郎に言ったのは、この演目「道成寺」のプロローグだったのですね。

お面が般若ではなくて、毒蛇に変身する前の白拍子の面「近江女（あるいは深井か曲見）」だったことがせめてもの救いでした。

まさに“（鐘を）落し前”　→　“（寿限無）のおとしまえ”というパロディが隠されていたのです。

桐谷健太絶妙の演技力

4話は寿限無役の桐谷健太さんの演技が際立った回でしたね。

寿三郎から出生の秘密を明かされ、一言「承知いたしました」と答えるシーン。

あの悟りきったような落ち着いた所作があったからこそ、後の「道成寺」の鐘に隠れる白拍子に扮した寿限無の寿三郎に対する恨みを込めたつぶやき「クソ爺！」が引き立ったのです。

このあたり工藤官九郎の脚本の凄さにも驚きですが、桐谷健太さんの絶妙の演技力にも脱帽です！

寿一の腹違いの兄弟だった寿限無に変貌はあるのか？

5話の予告編では、寿限無に遅めの反抗期がやってくるようなことになっています。

まあ、寿三郎は40年近くも実の子を養子と偽ってきたワケですから、そうなるのも無理はないことです。

そこで、寿一が寿限無をプロレスのリングに立たせるという展開が用意されています。

ハチャメチャなようで、人のホンネに迫るようなクドカンのシナリオ。

期待していいんじゃないですか！？

まとめ

ドラマ「俺の家の話」4話で描かれた“寿限無（桐谷健太）のおとしまえ”には、能の演目「道成寺」のクライマックスシーン「鐘」の“落し前”という、実はこんなパロディが隠れていました。

最後の寿限無がつぶやく「クソ爺！」のひと言に桐谷健太さんの演技が集約されていました。