「天気の子」鑑賞後、最も印象的だったと挙げる方が多いキャラクターが、須賀圭介です。
彼の行動には不可解な点が多く、さまざまな憶測を呼んでいます。
そこで、今回は須賀の行動で特に気になる点を考察しました。
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須賀はなぜ神津島~東京のフェリーに乗っていたのか
神津島はどんな場所なのか
神津島は都内より178km南にある伊豆諸島の一部の島です。
神津島はその名の通り「神が集う島」として知られています。
日本神話によると、「三島大明神」という神が出雲の国から多数の神々を率いて伊豆諸島を創りました。
神津島はその中で2番目に創られ、当初は「神集島(かみあつめのしま)」と呼ばれていたものが、やがて「神津島」と名を変えたとのこと。
神津島に伝わる伝承
神津島には様々な伝承が残されていますが、その中でも本作に関係が深そうな水に関する伝承があります。
それは「水配り神話」というものです。
伊豆諸島の創成を終えた神々は、神津島の中心にある「天上山」で会議をしたそうです。
その議題は、命の源である水を伊豆諸島の島々でどのように分配するかというものでした。
そして話し合いの結果、次の日の朝から先着順で分け合うことになります。
各島を収めている神が次々と訪れる中、利島の神は寝坊をして一番最後にやってきました。
しかし水はすでに残っておらず、怒り狂った利島の神はわずかに残った水に飛び込み暴れ出します。
暴れ出した際に水しぶきが四方八方に飛び散った結果、神津島では至る所で水が湧き出るようになったそうです。
須賀が訪れていた理由
須賀が神津島を訪れていたのには、三つの理由が考えられそうです。
取材のため
真っ先に思い浮かぶのは、須賀は神津島に伝わる様々な伝承の取材のために訪れていたのではないでしょうか。
劇中に登場するオカルト雑誌「ムー」では、たびたび日本神話に関するオカルト記事を掲載しています。
ひょっとすると「異常気象が止まらない東京の原因の究明」といった内容の記事を書いていたのかもしれません。
天気の巫女について調べるため
須賀は「天気の巫女」について調べていたのかもしれません。
関連がありそうな「水配り神話」を調査するため、神津島に渡ったと考えることも出来そうです。
またフェリーで豪雨に襲われた帆高をスムーズに助け出せたのも、そこで何が起こるかをすでに知っていた可能性があります。
自分も神津島出身のため
劇中では須賀の出身地は明かされていませんが、彼も神津島出身という可能性も考えられます。
フェリーで帆高に会うなり「家出?」とすぐに言い当てたのも、もしかしたら自分も過去に同じことをしていたからかもしれません。
帆高を拾い、見捨てた理由
フェリーで帆高の命を救い、食事をごちそうになった須賀は、別れ際に連絡先を渡します。
そして、彼は数日後に姿を現した帆高を暖かく迎え入れます。
帆高を拾った理由
昔の自分を見ているようだったから
あてもなく東京に飛び出してきた帆高を見て、若い頃の自分を思い出したのではないでしょうか。
実行したかはともかく、誰しもが一度は家出をしようと思ったことがあると思います。
自由奔放な振る舞いをしている須賀ですので、彼もまた同様だったことでしょう。
そんな帆高の姿を見て、放っておけなくなったのかもしれませんね。
その後の帆高の運命を知っていたから
帆高は陽菜と出会いお互いに思いを寄せていきますが、「天気の巫女」の運命により二人は引き離されてしまいます。
そして須賀は、そのことを知っていたのではないでしょうか。
職業柄オカルト知識は豊富のようですので、天気の巫女の事も把握していてもおかしくはありません。
帆高を見捨てた理由
警察に追われることになった帆高は須賀に呼び出され、家に帰るように諭されます。
良好な関係を築いていたはずですが、どうして須賀は帆高に別れを切り出したのでしょうか。
東京と帆高を救うため
彼は東京の異常気象を元に戻そうとしていたのかもしれません。
この場面の後、夏美との会話でも「人柱一人で狂った天気が戻るなら、俺は大歓迎」と言っています。
須賀が天気の巫女の事を知っていたとすると、彼は帆高と陽菜を引き離すことで東京を救おうとした可能性があります。
そしてその行動の裏には、帆高がこれ以上悲しい思いをしなくて済むようにという優しさがあったのかもしれないですね。
保身のため
捜索願が出されていた帆高をこれ以上匿うことで、自分が罪に問われてしまうと考えた可能性もあります。
万が一逮捕されてしまえば娘にも会えなくなると考えたら、このような行動をしてしまうのも理解できますね。
この場面の後に酒浸りになってしまうのも、そんな自分を恥じたからかもしれません。
妻と子供について
須賀には二人の家族がいます(いました)。
それは妻の「明日花」と娘の「萌花」です。
明日花について
10代で須賀と出会い、大恋愛の末に結婚をします。
しかし娘を出産した後、明日花は事故死によって突然須賀の目の前から姿を消しました。
また小説版では、夏美によって明日花の死因が複雑であることが述べられています。
彼が今でも婚約指輪をしているところから、まだ妻への想いを断ち切れないでいることがうかがえますね。
萌花について
須賀と明日花の間に生まれた女の子。
現在は明日花の母である間宮夫人に引き取られています。
喘息を持っていて、雨の日に発作が出やすい体質をしているようです。
明日花が天気の巫女であった説について
明日花が天気の巫女で、人柱となったため須賀の前から姿を消したという説があります。
その主な理由は以下の通りです。
死因が特定していないこと
→天気の巫女の人柱となったため、遺体が見つかっていないのでは?
萌花の親権が須賀にないこと
→間宮夫人は明日花が須賀に愛想をつかして失踪したと考えているのでは?
萌花が雨の日にぜんそくの発作を起こすこと
→明日花が天気の巫女であったからこのような症状を持ったのでは?もしくは、萌花の喘息を治すために人柱になったのでは?
帆高が向かった廃ビルに来れたこと
→警察よりも早く廃ビルに来れたのは、その屋上にある神社を知っていたのでは?
明日花が天気の巫女であったとすると、須賀の数々の不可解な行動も説明がつきます。
本当のところはどうなのでしょうか…
無意識に流した涙の意味
帆高と決別をした後、須賀の会社「K&Aプランニング」に安井刑事がやってきます。
そして、帆高が警察署から逃走したことを聞きました。
すると須賀は無意識のうちに涙をこぼしているのでした。
帆高に自分を投影していた
危険を冒してまで陽菜に会いに行こうとする帆高に、かつての自分を投影していたのかもしれません。
須賀も明日花に対して、帆高と同じような気持ちを持っていたことでしょう。
しかし時が経ち、日常に忙殺されていくうちにそんな気持ちも薄れていたのかもしれません。
帆高の話を聞いたことで、再び明日花への気持ちを再確認したとも考えられます。
帆高を見捨てた自分を悔やんだ
昨晩、帆高と決別をした自分を悔やんでの涙だったのかもしれません。
あの異常気象の中、帆高たちを保護してやれなかった自分がふがいなく思っていた可能性があります。
なぜ廃ビルで帆高を助けたのか
警察署から逃げ出した帆高は夏美の助けを借りて、陽菜に会うために神社のある廃ビルに向かいます。
そして、そこで須賀と再会をするのでしたが、須賀からは警察に戻るよう説得されます。
その後警察もやって来て、帆高は周囲を取り囲まれてしまいました。
須賀は警察と共に帆高を説得しますが、須賀はいよいよ確保されそうになった帆高を身を挺して助けるのでした。
帆高の陽菜に対する気持ちに、自分の明日花への気持ちを重ねていた
なりふり構わず陽菜に会おうとする帆高の姿に、自分の明日花への想いを重ねたのかもしれません。
当初は大人として警察に戻るよう説得していましたが、帆高が本気であることを理解し、自分もそのような気持ちを持っていたことを思い出したと考えられます。
警察の横暴さに怒りを覚えた
帆高が発砲したことが原因ではありますが、子ども相手に拳銃を向ける警察に怒りを覚えたのかもしれません。
また、「K&Aプランニング」に安井刑事が来たときも、かなり嫌そうな顔をしていました。
オカルト記事の編集という仕事柄、警察にはあまりいい印象を持っていない可能性があります。
「世界なんて元々狂ってるんだから」
3年が経った後、帆高は大学進学のために上京してきます。
そして久しぶりに須賀と再会するのでした。
帆高が思い切って異常気象の事を打ち明けるのですが、須賀はまともに取り合いません。
そして別れ際に須賀は帆高に「あんまり気にするな、世界なんて元々狂ってんだから」と言うのでした。
非常に印象的なこのセリフに込められた意味について考えてみました。
帆高を励ますために言った
帆高が陽菜を救ったため、東京の異常気象は止まらず地形を変えてしまいました。
須賀もこのことを認めていて、それでも帆高を励ますためにこのようなことを言ったのかもしれません。
3年間ずっと悩んでいたという帆高の告白をまともに聞こうとしませんでしたが、心の中ではその苦悩を理解していたのでは。
「もう何も悩まないで陽菜に会いに行け」というメッセージを込めたセリフだと考える事が出来そうです。
そして、これからの帆高の人生を応援しているとも取れる、とても前向きなセリフではないでしょうか。
現実を生きる理解者・須賀
以上、本作の重要人物・須賀圭介についての考察でした。
ある場面では帆高と対称的に描かれた大人として、またある場面では帆高と同じ少年のように描かれている人物のようでした。
本作では主人公である帆高は比較的心情が分かりやすく描かれているのに対して、あえて須賀は観客が感情移入しにくいよう複雑に描かれている印象です。
作品をさまざまな見方が出来るよう、あえて謎や思わせぶりな面を持たせた役割を持った人物なのかもしれませんね。
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