帆高はなぜ銃を拾い手放さなかったのか？銃に込められた意味は？【天気の子考察】

新海誠監督の映画『天気の子』の中で何度も登場していた”銃”。

少年の帆高が発砲するシーンは、衝撃的なものでした。

超自然的な力を持つ少女・真帆と、即物的な銃を手にした少年・帆高の逃避行…

そこには単なる小道具・武器という以上の意味が込められているように思います。

この記事では『天気の子』における銃の意味を考察していきます！

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帆高が拾った銃はニュースになっていたもの？

映画の中で最初に銃が登場したのは、街の電光掲示板でした。

『16丁の銃が押収されました』とニュースが流れたシーンです。

このシーンでは、銃から反社会勢力をイメージしました。

この銃は”暴力”や”恐怖”などのマイナスな感情を表現しているのかもしれません。

帆高は歌舞伎町のゴミ箱の中にあった紙袋を拾いましたが、その中身が銃でした。

隠蔽するように捨てられていました。

もしかしたら帆高が拾った銃は、押収されずに隠されていた物なのかなと思いました。

なぜ帆高は銃を手放さなかったのか？

帆高はまさか紙袋の中が銃だとは思ってもいないので、初めて見たときとても驚いていました。

その時マックにいたので、思わずカバンの中に隠します。

何もやましいことがないので、帆高は拾ったと警察に届けることもできたはず…

それなのに帆高は、なぜ銃を手放さなかったのでしょうか。

この銃は、帆高の中にある”怒り”を表しているように感じました。

帆高は大人や社会に対して、不満を感じています。

その感情が消えなかったから、銃を手放さなかったのかもしれません。

帆高はどうして発砲したのか？

スカウトマンに暴行された時の発砲

陽菜がスカウトマンに捕まってしまい、困っているところを見た帆高。

帆高は陽菜の手を掴み、その場から逃げ出します。

しかし挟み撃ちされてしまい、スカウトマンに帆高は捕まってしまいました。

殴られていた時、陽菜を逃がすために銃を取り出します。

そして発砲しました。

陽菜を逃がしたい、でもスカウトマンに捕まって何もできない。

うまくいかずモヤモヤした感情が、帆高の中で我慢できなくなって銃を手にしたのかなと思います。

帆高の中にあった怒りの感情が爆発した様子を、発砲で表現しているのかもしれません。

須賀に向けた発砲

警察に捕まりますが、陽菜のことが諦めきれず脱走した帆高。

鳥居のあるビルで帆高を待ち受けていたのは、須賀でした。

陽菜を取り戻したい強い気持ちが、帆高を突き動かしています。

娘を手放したくない須賀は、警察に戻るよう説得しました。

そしてなかなかはな火を聞いてくれない須賀に向け、帆高は2度目の発砲をしました。

1度目は衝動的にでしたが、2度目は撃つ意思がきちんとあります。

須賀たち大人の行動は”正義”で、正しいものです。

そんな大人の正義よりも、陽菜への気持ちの強さが発砲に繋がったのではないでしょうか。

銃にはどんな思いが込められている？

帆高

大人や世の中に対する不満や、大切な人を守りたい強い気持ち。

帆高の中にある強い感情を、銃という形で表現しているように感じました。

抑えきれない感情が、発砲に繋がっているのではないでしょうか。

発砲をしたのは、どちらも陽菜を守りたいからです。

正しいことではないと分かっていても、帆高はどうしても陽菜を守りたい。

周りへの怒りや、大人への反抗という思いが込められているのかもしれません。

陽菜

陽菜が銃を見たのは、スカウトマンから帆高が助けてくれた時です。

自分を助けようとしてくれているのは分かっていたはず。

それ以上に驚きの方が大きく、帆高を怒りました。

もし銃が無かったらその場でお礼を言って終わり、帆高とその後関わることはなかったかもしれません。

銃が2人の関係をつなげたのかなと思いました。

銃をなくした帆高と私達

さてそんな帆高にも、とうとう銃を手放す時が来ます。

権力・暴力・反抗・意志……あらゆるものを象徴していた銃を手放した時は

陽菜もまた天気を操る力をなくした時でした。

保護観察処分を終え、銃のない存在として、ただの人となった陽菜と社会の下に戻ってくる帆高……

その後の2人の人生はどのようなものになるのでしょう？

それはまた銃を持たない私達の存在のありようも浮かび上がらせてくるようにも思えます。

以上、映画『天気の子』の中で、銃にはどんな思いが込められていたのか考察してみました。

新海誠監督は、なぜ帆高に銃を持たせたのか…

考えながら映画を観ていくと、また違う見え方ができます。

ぜひ皆さんも、銃がなぜ登場したのか考えてみてはいかがでしょうか。